コラム
column06.スクリーン版と印刷膜厚のこと
シルク印刷とも呼ばれるスクリーン印刷は、スクリーン版の上からインキを押し出すように印刷し、印刷面にインキをのせていくとてもシンプルな印刷方法で、高精細なパターンを形成できます。こちらでは、スクリーン版の仕様と印刷膜厚との関係性についてご紹介します。
メッシュスクリーン
印刷膜厚は、「紗」と呼ばれるメッシュスクリーンの仕様によって変化します。メッシュスクリーンの種類は様々ありますが、ここでは代表的な4種類をご紹介します。
≫ステンレスメッシュ
ステンレスワイヤーをベースに平織りしたステンレスメッシュは、高解像性と位置精度が必要とされる印刷にピッタリです。
≫ポリエステルメッシュ
ステンレスメッシュに比べ、弾力性があるポリエステルメッシュは、Tシャツやコップといった被印刷物に最適です。
≫SFメッシュ
一般的なメッシュの線に比べ細いのが特徴のSFメッシュは、開口率が大きくインキの吐出性が良いため、ファインライン印刷に最適です。
≫3Dメッシュ
特殊な織り方で紗厚が通常の1.5倍になっているため、細い糸でも高品質な厚盛印刷が可能です。
版厚
縦と横の糸を交差させて織られている、メッシュスクリーンの厚みを「紗厚」と言います。メッシュスクリーンに使われている線形の太さによって紗厚は変動します。
一方、スクリーン版からインキがでないように網目をふさぐ役割を担っているのが乳剤です。「乳剤厚+紗厚=版厚」となるため、紗厚や乳剤厚が厚くなればなるほど版厚も厚くなります。
開口率(オープニングエリア)
メッシュスクリーンの糸と糸の間の長さを「オープニング」と言い、そこにある隙間を開口率で表しています。開口率は、「オープニングの2乗÷(線径+オープニングの2乗)×100」の計算式を使って算出します。これは単位面積に対して開口面積の割合となりますので、開口率が高いほどインクが通過しやすいということを表しています。
上記のように、メッシュスクリーンの種類や版厚、開口率などスクリーン版の条件によって、印刷膜厚が決まってきます。反対に言うと、スクリーン版の容量以上の膜厚を出すことはできないのです。印刷膜厚をコントロールするためには、スクリーン版の条件を検討することが大切なのです。